【エレンディラ】 ガルシア マルケス 感想 その2
【エレンディラ】 ガルシアマルケス その2
引き続き 面白かった後半2編の感想
◉奇跡の行商人、善人のブラカマン
☆ストーリー
奇跡を起こせると嘘をつき 物を売り歩く
インチキ行商人のブラカマン
ブラカマンに興味を持った貧しい子供が
親元からブラカマンに買われて行く。
ブラカマンは商売もうまくいかず 子供は
さんざん酷い扱いを受ける。最初は慕っていた子供もいつからか反発心を抱く様になる。
檻の中に閉じ込められた子供は様々な嫌がらせを受け身も心もボロボロに。食事の代わりに死んだウサギを与えて去っていくブラカマン、怒りに任せそのウサギを壁にぶつける子供、するとそのウサギが生き返る!突然病気や傷を治せる能力に目覚める。
そこから子供はその能力で料金を取り病気の人を治して行き 大金持ちになる。
ある日ブラカマンを見かける 死んでも生き返る奇跡を見せるとまたインチキ商売をしているが 失敗してブラカマンは本当に死んでしまう。
子供はブラカマンを救えるはずだが わざと助けない。
海の見える丘の上に皇帝のそれを思わせる
立派な墓を建てブラカマンを埋める
そして墓の中で生き返らせる。そして死ねばまた生き返らせる
「僕が生きている限り永遠に。」
で終わる。
ブラカマンは明らかに悪党だが 子供の方も
ラストはなかなかに残酷で、何が善で何が悪なのかは誰にもわからないというのが 話の大枠であろうか?
それとも単なる復習劇なのか?
まさに大人のための残酷な童話といったところ。
エレンディラは長くなりそうなので
次に書く。
【エレンディラ】 ガルシアマルケス 感想 その1
コロンビアのノーベル文学賞作家
ガルシアマルケスが大人の残酷な童話として
書いたと言われる 6つの短編と中編が1つ
百年の孤独と族長の秋の間に書かれている
短編集。
【気に入った 前半の2作品感想】
◉大きな翼のあるひどく年取った男
ある朝 ぬかるみに倒れているひどく年取
った男を見つけるが その男にはボロボロ
の翼が生えていた。
その男を檻のなかに保護しておくが 噂を
聞きつけた 村人たちが 大勢押しかけ
大騒ぎに しかし村に蜘蛛女なる 自分の
不幸な生い立ちを語る 本当に蜘蛛と
人間が合わさった者が現れると物珍しさに
行列を作って見物人の行列に
村人たちは羽の生えた老人には見向きもし
なくなる。
忘れ去られた老人は やがて 自然と羽も
綺麗に生え変わり 空に飛んで去っていく
という話。
とても短い話だが 惹きつけられる物がある
まず朝起きてから“家にあがってきてしまう 蟹”
を殺さないといけないという 日常生活に びっくりさせられる。
そして 泥まみれの 羽の生えた老人を見つけるという入りで すでに物語に引き込まれる。
羽の生えた老人は 実際に天使であり 人間たちの求める物であり 自分達の生活に何か幸福をもたらしてくれるはずの物の象徴であろう。
しかし 実際には 天使であっても 老人はみすぼらしく 汚く 檻の中で うずくまっているだけで これといって身のなるような奇跡を起こしてくれるわけでもない 。
そんな最中 新しい目を引く物(蜘蛛女)が
現れれば 簡単にみんな忘れてしまう
そんな 人間の浅はかさを描いた ブラックユーモアの様に 思った。
期待した天使は何も起こさない、しかし
それは実際に天使だったのだ。
◉失われた時の海
☆ストーリー
海からバラの匂いがするが誰も信じない
そのうち村人全員がバラの匂いが わかる様になる。 村は、その珍しい 海からのバラの匂いによって 遠方からも人が押し寄せ 毎日お祭り騒ぎが始まる。そんな中 大金持ちのアメリカ人 ハーバートがやってくる。
ハーバートは金の必要な人に 特技をやらせ
上手くいけば 金を渡した。
数日後 ハーバートは急に眠りだし 何日も起きない。 やがて 村もバラの匂いは消え 閑散とし いつもの 寂れた街に戻ってしまう。
そして ハーバートが目をさます 腹が減ったので海の底に おいしい ウミガメがいるから取りに行こうと主人公と海に潜る。
海に潜ると 白い家の立ち並んだ村が見える テラスには 花が咲き乱れている 今日の朝に水没した村らしい。そして村の老人の亡くなった妻が通り過ぎる その後ろには 世界中の花が帯状に続いており 世界中を回ってきたんだろうと ハーバートが言う。
そして海の中にバラが咲いているのを見つける。近くまで行くが ハーバートに止められ
ウミガメを捕まえて帰る。
ハーバートに海の中の事は誰にも話すなとくぎを刺される。
ハーバートは唐突に村を出て行くという。
「広い世界にはいろいろやる事がある」
「君たちも現実をしっかり見据えないといけない。」
「現実とはつまりあの香りは二度と戻ってこないという事だ。」
といって去っていく。
その夜 主人公は妻に 海の中に沈む村と バラの事を話す。 すると妻にバカな事を言わないでちょうだいと一喝される。
◉感想
まず海に入ってからの描写が感動的に美しく頭の中に広がった。 死体に続く世界中の花々なんてとても幻想的で美しい。
本文中の会話の中で 「海の中を知っているのは 死人だけなんですよ」や 「バラの匂いは死の前兆」 など 死に関するワードがいくつか出てくる。
そうすると海の中をよく知っている ハーバートってなんだろう?と思うし 海の中の事を妻に話した時に妻に怒られる理由もよくわかる。
ストーリーとしては、大きな翼のあるひどく年取った男と似た様に
何もない村に外部から何かが来て騒動が起こり
そしてそれが通り過ぎて行き 元に戻るというところは似ていると思った。
こちらのほうが 少し長く 描写も細かいので
とても面白く感じた。何回読んでも何か読み取れる物がある様に思う。
大きくとらえると 自分の身の回りで起こった 浮き沈みもすぎてしまえば あっけなく
ちっぽけなものだと
もっと大きくものを見て現実を見きわめ前に進まなければならない あの香りは二度と戻ってこないのだからと思った。
【バナナフィッシュ日和】 J.D サリンジャー
【バナナフィッシュ日和】 J.D サリンジャー
マンハッタン ウディアレン 映画感想
マンハッタン ウディアレン 100点/100点
ガルシアマルケス 【予告された殺人の記録】 感想
100点/100点
【予告された殺人の記録】 ガルシア マルケス
コロンビアのノーベル文学賞作家
有名な百年の孤独よりあとに書かれた作品
◉書き出しが最高
“自分が殺される日、サンティアゴ ナサールは、司教が船で着くのを待つために、朝、五時半に起きた”
から始まる。
◉内容
裕福な家庭のイケメン 息子 サンティアゴ ナサールがなぜ殺されたのかをめぐる話。
この事件は題名の通り予告され街の皆も知っていたにもかかわらず サンティアゴが殺される件について 主人公が街の人たちに証言をとっていくような感じで進む
◉殺された理由は
島に移住してきた金持ちが、島の貧しい家の娘を嫁にもらおうとして結婚まで たどり着くが 結婚の直前で 処女ではないとわかり(婚前交渉禁止の宗教?)破談になる。
その相手は誰だと聞くと サンティアゴ ナザールだという。
金持ちの嫁に行けたはずの妹を傷ものにした サンティアゴに対して 娘の双子の兄弟が憤慨し
殺人を計画する(屠殺用ナイフを持って待ち伏せ)がそれをみんなにふれまわっており、街の誰もが知っていたのにもかかわらず結局は殺されてしまう。
しかも 実はサンティアゴが娘と関係があったかは実はわからず 何十年もあとに主人公が娘に確認しても 濁されて真実はわからない
果たしてどっちだったのか?
しかもその娘は島に来た金持ちと結婚するのが嫌で 処女ではないと嘘をついたのに
中盤ではあとからその金持ちの事を忘れられなくなり、猛烈に手紙でアピール(2,000通‼︎)して、その甲斐あり 再会を果たす
いわゆるサスペンスになりそうな話が
読み終えるとそうではない。
本当にあった事件を元に書いてるそうで、 まるで作者が事件の真相を知っているのではないかと話題になり 警察に取り調べをうけた というのが 当時、話題になったようだ。
しかしその様なリアリティの部分というよりは、 フィクションとして単純に面白いし 物語の中に何か、人間の本質についていろいろ書かれているような気がしないでもない
そこが面白い。
◉終わり方も秀逸
サンティアゴが内蔵飛び出したまま 百メートル以上歩き
つまづいて転ぶが すぐに起き上がり 腸に泥がついたのを気にして手でゆすって落としていたっていうのも なんか 独特の表現で面白い。
それで倒れて死んで終わり そのあとは何もなし
娘の言ったことは嘘だったのか?とかそういうところはあえて明らかにせず終わるが
その感じがとてもよく 気持ちの良い読後感
読み手にいろいろ考えさせてくれるようなところが とても面白かった。
雰囲気として土っぽさや生活感がにじみ出ているところも魅力的
このあともマルケスをいろいろ読んでみよう
職業としての小説家 村上春樹 感想
100点/80点
職業としての小説家
村上春樹の小説 エッセイなどある程度読んできたが、今までの本とは異なる内容 が書かれているのではないかと期待し購入。
この本にも書いてあるし、前から本人も言っているように 昔から言ってることが変わらないから 同じような話がまた出てきてるけどすいません みたいな、まさしくそんな内容 エッセイ関係のエピソードがほとんどだった。
彼は勝手に海外で人気が出たわけではなく自分で海外で売りたい為に 行動を起こした結果として 世界でのセールスにつながっていった事、 つまり売るための努力もしていたというそのような彼の積極性は意外だったし、ただ才能だけで世界的人気には結びつかなかったんだろうなと思った。
全体的には、作家の卵たちに公演しているかのような感じで書かれているので物書きを目指す人などには 参考になる部分も多いと思う 。
最後に、僕はこの人の本を読むたびに、生活を正そうとそういう気持ちにさせられるのでそういう意味でも 自分には 価値があったかなと 思う。
また 走るのと筋トレを始めよう…かな。
【LAヴァイス】トマスピンチョン 感想
100点/100点
【LAヴァイス】トマスピンチョン