【緑の家】感想1 マリオ・バルガス・リョサ

 

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◉あらすじ

《緑の家》を建てる盲目のハープ弾き、スラム街の不良たち、インディオを手下に従えて他部族の略奪を繰り返す日本人

ペルー沿岸部の砂の町とアマゾン奥地の密林を舞台に、様々な人間たちの姿と現実を浮かび上がらせる バルガス-リョサの代表作。

 

あとがきに訳者が書いてくれたちょうど良い

まとめがあるのでそれを

 

“作品の舞台は、 ペルー・アマゾンにある町イキートス、アマゾン源流地域にある町サンタ・マリーア・デ・ニエバ、 およびその周辺、 それにアンデス山脈の反対側にある砂漠の町ピウラになっていて、 そこで五つのストーリーが相互に関連し、絡み合いながら展開してゆくという設定になっている。 以下その五つのストーリ.ーを大まかに説明しておく”

 

◉1

 作品の冒頭に出てくる治安警備隊の隊員たちとシスターは、インディオの住む集落に向かっている。彼らはそこで原始的な生活を営んでいるインディオの少女を連れ去り、サンタ・マリーア・デ・ニエバの町にある修道院に住まわせて、キリスト教教育を授けている。ただ、そうして教育された少女たちも成長して修道院を出てゆく時がくると、後は裕福な家庭のお手伝いになるか、場合によっては売春婦に身を落とすしかなかった。拉致された少女の一人ボニファシアは、仲間の少女たちをそうした境遇から救い出そうとして修道院から逃すが、それが発覚して僧院を追われ、謎の多い女性ラリータの家に引き取られる。やがて彼女は治安警備隊の軍曹リトゥーマと知り合い、結ばれる。その後、リトゥーマは彼女を生まれ故郷のピウラの町にあるマンガチェリーア地区に連れ帰るが、ある事件(◉5に後述)を起こしたために牢に入れられ、その間にボニファシアは売春宿《緑の家》で働くようになる。

 

◉2

放浪の歌手アンセルモはピウラの町に流れ着き、しばらく暮らしたあと町外れに売春宿《緑の家》を建てる。一方、捨て子だった少女アントニア(トニータ)は農場主のキローガ夫妻に引き取られて幸せに暮らしていたが、夫妻が盜賊に襲われた時に彼女も瀕死の重傷を負い、目も見えなければロもきけなくなった。 洗濯女に連れられて毎日外に散歩に来るその少女に恋をしてしまい《緑の家》に勝手に連れて来る。アンセルモはやがて彼女を愛するようになり、 二人の間に子供ができるが、アントニアは出産直後に亡くなる。その事件を機に、 かねてから《緑の家》を道徳的頽廃の元凶とみなしていたガルシーア神父が、町の人たちをそそのかしてあの店を焼き討ちにする。アンセルモはその後楽士として生計を立て 《緑の家》の話はしなくなる。のちにアントニアとの間に生まれた子供ラ・チュンガが成長して、《緑の家》を再建し、そこで楽士として働くようになる。ボニファシアがラ・セルバティカの名で働くようになったのは再建後の《緑の家》である。

◉3

インディオの部族の長フムは、仲介人を通さず直接買手と交渉してゴムを売ろうとしてつかまり、拷問される。 一方、ブラジルで事件を起こして牢に入れられるが、脱獄してアマゾンの奥地に身を潜めた日本人フシーアは、 インディオを使って密輸や盜賊行為を行なっている。フムはそのフシーアのもとに身を寄せる。フシーアはやがて重い感染症にかかり、友人アキリーノのボートで奥地にある療養所に向かうが、小説の中ではこの二人の会話を通して過去の出来事が回想されていく。

 ◉4

 イキートスの町に住む政治家のフリオ・レアテギは地方ボスとして絶大な権力を振るっているが、陰では人を使ってゴムの採取を行なっているインディオを搾取し、密輸にも手を出して大きな利益を得ていた。 フムが傷めつけられた背後にはレアテギがいたし、彼はまたフシーアをつけ狙い、いつかつかまえてやろうと目を光らせていた。

 

◉5

ピウラの町のマンガチェリーア地区に住む若くて向こう見すなリトゥーマとその仲間たちの物語。 リトゥーマはその後治安警備隊の軍曹としてアマゾンの奥地に赴任し、そこでボニファシアと知り合い、 彼女を連れてピウラに戻ってくる。 その町でも治安警備隊員として働いていたが、 ある事件《農場主セミナリオと喧嘩になりロシアンルーレットをやり自殺に追い込んだ》がもとで逮捕され、 牢に入れられる。 ボニファシアはしかたなく《緑の家》で働くようになる。 この物語と平行して、 アントニアを失い今はハープ弾きとして働いているドン・アンセルモやガルシーア神父をはじめさまざまな人物たちにまつわる話が語られている。

最後はドン・アンセルモが死に セバーリョス医師、ガルシーア神父、リトゥーマたちとで アンセルモの死についていろいろと語り合う 最後は神父がミサとお通夜を引き受ける約束をし一旦家に帰るところで終わる。

 

◉印象に残った人物達

 

★フシーア 

フシーアはもともとフリオ・レアテギ(行政官)と密輸業をしていたが それがばれた時に フシーアが全ての罪を被り逃亡する事になる。その時 街で出会ったラリータという女を連れて行く。ラリータとフシーアは実際夫婦になるが度重なる悪事と病気で行く先のなくなったフシーアは老人アキリーノが探してきてくれた 身を隠せる療養地に向かう

療養地に住んで1年後アキリーノが訪ね

ラリータには新しい家族がいて幸せだと聞かされると おとなしくなってしまう。

 

★ラリータ

最初はフシーアに連れられて 密林の生活が始まる。フシーアがほとんど帰ってこなく夜の生活もなくなると 愛を感じれなくなり 船頭のアドリアンニエベスと島を逃げ出し結婚する。その時は自分の息子アキリーノとインディオから引き取ったボニファシアを育てていた。

しばらくすると主人のニエベスが警察に捕まり一人になる その後は治安警備隊員の〈デブ 〉と結婚したくさんの子供がいて幸せに暮らしている。最後は息子アキリーノの結婚式の為ラリータの故郷イキートスに行く。そこでニエベスが釈放されたことを聞く、かなり長い間捕まっていた事に驚く。

 

★アンセルモ

突然ピウラの街に現れ 村の人たちと親交を深める しばらくすると 街のはずれの砂漠の土地を買い取る 突然工事が始まると完成したのは緑に塗った建物だった。

村人も最初はわからなかったが 売春宿で経営者はアンセルモだった。街の女性やガルシーア神父には猛烈に反対される。しかしそれに反して《緑の家》は繁盛し 街も発展していった。アンセルモはハープの名手で楽団を組んでいた。しばらくするとアンセルモは少女アントニアに恋をしてしまい 家に連れ帰ってしまう そして彼女は妊娠し緑の家で出産させ様としたが失敗しセバーリョス医師を呼ぶが間に合わず 子供は取り上げたが アントニアは死んでしまう。 それを知ったもともと《緑の家》に反対していた人々とガルシーア神父に批判される。そして《緑の家》は誰がやったかはわからないが 燃えてなくなってしまう。

その後は浮浪者のように町をうろつき世捨て人のようになる。少しずつ回復し酒場などに雇われ 楽団として仕事をする そして火事でも助かった娘ラ・チュンガ が成長し 《緑の家》をまた建てる そこで楽団として働くようになる。アンセルモは昔から町を知っている老人としてみんなに好かれていた。最後は老衰で《緑の家》で亡くなる。

 

 

人物の描写がしっかりしているので 全員がとても印象に残るし よりストーリーに入り込める。

 

ざっとストーリーとキャラクターの覚え書き。

長いので感想は次に        つづく