ガルシアマルケス 【予告された殺人の記録】 感想

100点/100点

【予告された殺人の記録】 ガルシア マルケス


コロンビアのノーベル文学賞作家 

有名な百年の孤独よりあとに書かれた作品


書き出しが最高


“自分が殺される日、サンティアゴ ナサールは、司教が船で着くのを待つために、朝、五時半に起きた”

から始まる。


◉内容

裕福な家庭のイケメン 息子 サンティアゴ ナサールがなぜ殺されたのかをめぐる話。


この事件は題名の通り予告され街の皆も知っていたにもかかわらず サンティアゴが殺される件について 主人公が街の人たちに証言をとっていくような感じで進む


◉殺された理由は

島に移住してきた金持ちが、島の貧しい家の娘を嫁にもらおうとして結婚まで たどり着くが 結婚の直前で 処女ではないとわかり(婚前交渉禁止の宗教?)破談になる。

その相手は誰だと聞くと サンティアゴ ナザールだという。

金持ちの嫁に行けたはずの妹を傷ものにした サンティアゴに対して 娘の双子の兄弟が憤慨し

殺人を計画する(屠殺用ナイフを持って待ち伏せ)がそれをみんなにふれまわっており、街の誰もが知っていたのにもかかわらず結局は殺されてしまう。

しかも 実はサンティアゴが娘と関係があったかは実はわからず 何十年もあとに主人公が娘に確認しても 濁されて真実はわからない

果たしてどっちだったのか?

 

しかもその娘は島に来た金持ちと結婚するのが嫌で 処女ではないと嘘をついたのに

中盤ではあとからその金持ちの事を忘れられなくなり、猛烈に手紙でアピール(2,000通‼︎)して、その甲斐あり 再会を果たす 


いわゆるサスペンスになりそうな話が

読み終えるとそうではない。

本当にあった事件を元に書いてるそうで、 まるで作者が事件の真相を知っているのではないかと話題になり 警察に取り調べをうけた というのが 当時、話題になったようだ。


しかしその様なリアリティの部分というよりは、 フィクションとして単純に面白いし 物語の中に何か、人間の本質についていろいろ書かれているような気がしないでもない

そこが面白い。

◉終わり方も秀逸

サンティアゴが内蔵飛び出したまま 百メートル以上歩き

つまづいて転ぶが すぐに起き上がり 腸に泥がついたのを気にして手でゆすって落としていたっていうのも なんか 独特の表現で面白い。

それで倒れて死んで終わり そのあとは何もなし


娘の言ったことは嘘だったのか?とかそういうところはあえて明らかにせず終わるが

その感じがとてもよく 気持ちの良い読後感

読み手にいろいろ考えさせてくれるようなところが とても面白かった。

雰囲気として土っぽさや生活感がにじみ出ているところも魅力的 


このあともマルケスをいろいろ読んでみよう