【都会と犬ども】マリオ・バルガス・リョサ 感想その1

【都会と犬ども】 マリオ・バルガス・リョサ  感想その1

 

◉あらすじ

厳格な規律の裏では腕力と狡猾がものを言う、弱肉強食の寄宿生活。首都リマの士官学校を舞台に、ペルー各地から入学してきた白人、黒人、混血児、都会っ子、山育ち、人種も階層もさまざまな一群の少年たち=犬っころどもの抵抗と挫折を重層的に描き、残酷で偽善的な現代社会の堕落と腐敗を圧倒的な筆力で告発する。’63年発表。

 

◉ストーリー

★第一部

ジャガー、アルベルトらが、新入生の時(3年生が新入生になる)四年生に激しく暴行(洗礼)を受ける。それを受けて仕返しのため、組織と呼ぶチームを結成する。 しかし、夜な夜な集まって、悪だくみをしているのを中尉に見つかり、組織は解散させられる。映画館での上級生との乱闘など、学校での出来事なども問題になる。

 

〈僕〉は学校に入る前、近所に住むテレサ

が好きでいつも家に行って一緒に勉強していた。

リカルドアラナ(奴隷)は、厳しい父親に暴力を振るわれていた。

テレサは近所に住むアラナに映画に誘われたと叔母に話す。

アラナは外出できないので、会えない事を伝えるために唯一の友達アルベルトに、テレサにあって伝えてもらうが、アルベルトは自分がテレサと映画に行ってしまい、次もまた会おうと告げる。

学校で試験が盗まれたのがバレる。 その時、歩哨(見張り)をしていたのは、奴隷とアルベルト、やったのはカーバ(ジャガー達、組織の賭けに負けてやる事に)

〈僕は〉テレサに会いたくて学校までつけて行った事がある。

奴隷は外出禁止をくらっていたので、テレサに会いたくても会えず。

奴隷は外出したいために、カーバが試験を盗んだ事を中尉に密告する。

奴隷は密告により外出できる事になる。

カーバが処分された事でジャガー達に、クラスの中に密告者がいる事がバレる。

アルベルトは外出してテレサに会うが奴隷は来ていないという。そしてテレサに好きだと伝える。

ガンボア中尉というどの同僚達よりも真面目な中尉がいる。

銃を使った野外演習の最中、頭から血を流し倒れている生徒を発見 奴隷だった。

★第2部

ボアがやせっぽちという犬を可愛がっていた話。

アルベルトは治療中の奴隷に会いに行くが、会わせてもらえない。

〈僕〉はテレサにケーキを買ってあげた。

カーバは放校処分になった。

アルベルトは学校に来ていた奴隷の父と会う。

外出できた日は、奴隷は父親にせっかく久しぶりに出てきたのだから家の中にいろと言われた事がわかる。(本当はテレサのところに行きたかった)

大佐をはじめ学校側は、奴隷の葬式の準備を始める。 診察結果で後ろから銃弾を受けているという結果も出ているが、“表向き”自殺として公表する事にする。

〈僕〉は世話になっている イゲーラスに泥棒に誘われる。テレサに会うための金がないので 手伝う事にする。

奴隷の死後、アルベルトは別人のようになってしまった。誰とも口をきかずみんなから離れている。

アルベルトは偶然テレサに会うが、しばらく会えないが手紙はくれと行って別れる。

〈僕〉は泥棒に参加し、金が手に入り、テレサに漫画をプレゼントする。

アルベルトはガンボア中尉に電話し、奴隷を殺した犯人を知っていると告げ、中尉の家に行く。

ジャガーはカーバの放校処分の後、誰彼なく突っかかるようになった。とにかく密告者を許せず見つけたがっていた。

アルベルトは全てを告げる。アラナがいじめられていた事、クラスの者が、酒タバコ、博打をしている事、ジャガーが、密告者がアラナという事を知り、腹を立て殺した事。

ジャガーはガンボア中尉に呼び出される。

〈僕〉はイゲーラスと何件も泥棒にはいるようになった。テレサともうまくいっていた。

アルベルトの告発を、大尉に掛け合うが取り合ってくれない。しかしガンボア中尉が報告書を作り自分が直接少佐に掛け合うという。

大尉はガンボア少尉に、我々二人とも来年の昇進があるからこの事件を報告するのはやめようというが、正義感の強いガンボアはそれはできないという。

アルベルトの密告により、クラス全員ロッカーを検査される。生徒達はジャガーが密告したせいだと言い出す。

ガンボアはジャガーを呼び出して話す。 ジャガーは答案を盗んだりはみんな共犯だと言う。見たやつも悪いという。 奴隷を殺してはいないといった。

〈僕〉は、海でテレサと男が遊んでいるのを見つける。

その男をボコボコにし、テレサに暴言を吐き警察に連れて行かれる。出所すると家には帰らずイゲーラスの所にすませてもらう。

アルベルトは大佐と面談。 証拠がないのでなにもできないと言われ、逆に自分がクラスメイトに売っていたエロ小説の事について問い詰められなにも言えなくなる。

面談が終わり独房に戻るとジャガーと同じ部屋になる。

〈僕〉はイゲーラスと共に昔のボスに雇われ、泥棒にはいるが、はめられてイゲーラスは捕まる。〈僕〉は逃げて、自分の家に2年ぶりに帰るが、母親は死んでいた、テレサも引っ越していなかった。

アルベルトとジャガーは言い合いになり、自分が密告者だと告げると、ジャガーにボコボコにされる。

〈僕〉はおじさんの家で働かせてもらい、士官学校の入学費まで出してもらう。

アルベルトは、奴隷が密告してカーバが捕まった事を言ったら、ジャガーは知らなかった。

アルベルトはジャガーが奴隷を殺した事を、疑って悪かったと謝る。

兵舎に戻ると、ジャガーは密告者だとクラスメイトに責められ乱闘になる。ジャガーは、アルベルトが密告者だとは、クラスメイトに言わない。

アルベルトはジャガーに、なぜアルベルトが密告者だと言わないかと尋ねる。  

「自分は奴らにどう思われようが気にしちゃいない、お前も消え失せろ」と言われるが 友達でいてくれとアルベルトはいうが、ジャガーは断る。

◉エピローグ

ガンボアは寒冷地に左遷になった。

ジャガーは奴隷を殺した事を手紙にしてガンボアに渡した。2人は学校の外で話す。ガンボアは蒸し返す事はせず、アラナの死を無駄にしないように頑張れ、と告げる。ジャガーは密告者の奴隷(アラナ)からクラスの皆を守ってやったつもりが全員から罵倒された事に腹を立てていた。

アルベルトは奴隷を守ろうとして行動していたので許した。

アルベルトは昔の仲間と楽しくつるみ、新しい彼女も出来た。アメリカに行ってエンジニアになる予定がある、奴隷の事も少しずつ忘れられるようになった。

ジャガーは、捕まっているイゲーラスに面会に来て色々と話す。テレサと再会して結婚した。

今は堅気で幸せに暮らしている。 

 

この書き方にはトリックがあり、〈僕〉という人物でイゲーラスと関わり、テレサと恋愛をしている登場人物は最後まで明かされないがジャガーの過去の話である。(テレサの近所という事で奴隷の過去と勘違いさせられる。)

 

終わり

 

感想は次に