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【コレラの時代の愛】 ガルシア マルケス 感想

コレラの時代の愛】 ガルシア マルケス 感想

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百年の孤独】とはまた違った壮大な時の流れを描く愛の物語。


◉ストーリー

序章

老齢の医師フベナル ウルビーノ とその妻

フェルミーノ ダーサ の話から始まる。

ある日家から逃げ出したオウムを捕まえようと木に登ったウルビーノ博士は梯子が倒れ落下そのまま死んでしまう。

悲しみに暮れるフェルミーノの前に現れた

老人 フロレンティーノ アリーサは フェルミーノに対してこう言う。「わたしはこの時が来るのを待っていた。もう一度永遠の貞節と変わることのない愛を誓いたいと思っている。」

それに対し怒ったフェルミーノは二度とこの家の敷居をまたがないでくれと追い返す。

しかしその夜すすり泣いて眠りながら亡くなった夫のことよりもフロレンティーノ アリーサのことを考えていることに気づく。


郵便局で通信技師をするフロレンティーノ アリーサ 18歳 は 偶然見かけた フェルミーノ ダーサ15歳 の美しさに一目惚れする。

フロレンティーノは彼女の気を惹こうと

彼女の通学路で目につく場所で読書するふりをして存在を認めさせる。

そのうちタイミングを見計らい手紙を渡す。

最初は抵抗していたフェルミーノも彼の執拗なアプローチに気持ちが彼の方に傾いていく。

しかしフェルミーノのは父親に厳しく育てられていて 行動するのもいつも叔母と一緒

なので 絶対にバレないように手紙のやり取りで二人の関係はスタートする。

しかしその関係は父親にばれてしまい

二人は引き離される。

父親はフロレンティーノを連れてラバに乗り過酷な旅に出る 遠い街の親戚の家で過ごすことに、その間 実はフロレンティーノはその執念でなんとかフェルミーノに手紙を届けていて。 関係性は保つことはできていた。

1年半が過ぎ 父親はもう娘も忘れているだろうと思い 家に戻ることに。

17歳になったフェルミーノは久しぶりにあったフロレンティーノを見て

以前の心の震える愛情ではなく底知れぬ失望を感じ ぞっとした 「そして、お願いですから忘れて下さい」と告げる。

そして「今日、あなたにお会いして、わたしたちのことは所詮幻想でしかないと気がつきました。」と書いた手紙を届ける。

そしてそれからは 二人きりで会うことも 二人きりでしゃべることもない 51年9ヶ月と4日 彼女が未亡人となる最初の日まで。


◉フベナル ウルビーノ博士

28歳のフベナル ウルビーノ博士はパリ帰りの優秀な医者で若い女性の憧れの的である。

しかし彼もフェルミーノの庶民的な魅力に

惹かれ猛烈なアタックをかける 最初は拒否していた フェルミーノもその熱意にほだされていく。もちろんフェルミーノの父も優秀な博士との結婚には賛成で結婚することに。

そしてパリへ2年の新婚旅行へ


フロレンティーノは立ち直れないほど打ちのめされ 癒しの旅に出る事に その間初めて女を知る。しかし旅も途中に街に戻る事に決める。 あてもなくフラフラしているが未亡人と出会い半年間常軌を逸した恋をする。

その未亡人を最初にして彼は〈彼女たち〉と題したノートをつける それは25冊に及び

622人にのぼる女性との関係が記録されていた。


フェルミーノは博士とのパリの旅行で とても幸せに過ごし 別人のようになって帰ってくる。世間知らずだったフェルミーノは海外で奔放に過ごしとても成長しそして子供を身ごもって帰国した。


フロレンティーノは博士がいずれ死ぬと決めつけ その時に彼女にふさわしい人間になろうと心に固く決め、その第一歩を踏み出す

叔父のカリブ海河川運輸会社でなんでもいいから仕事をくれと頼む。

そして仕事でも忙しく過ごし数々の女性と関係を持ち 未亡人たちは夫の死後どれくらい幸せに暮らしているか 知ることができた。


フェルミーノは結婚したものの 姑との関係で悩み暗い日々を過ごす。

そして30年が過ぎ そしてフェルミーノは姿を消す いとこの住む村で暮らしていた。

博士が不倫をしていた事を知ってしまったから。


フロレンティーノは河川運輸会社の後継者になる

親戚に世話するように預けられた遠縁の小学生の女の子アメリカ ビクーニャと恋をして 性的関係を持つ。フロレンティーノはもう、老年になっているにもかかわらず


そして 博士が死ぬ


フェルミーノのところにまたアプローチを始める。

最初は避けていたフェルミーノもついには陥落する。

そして2人は船旅に出る 道中2人は理解し合い結ばれる そんな中 フェルミーノに連絡が入る アメリカ ビクーニャが死んだ 成績の不振が原因で自殺したらしい 実際はフロレンティーノが相手をしてくれなくなったショックからの自殺。


2人は船旅を続ける 途中に停泊した港でコレラの検査のため長い時間拘束されるが フロレンティーノは無視して先に進もうと船長に命令する


船長はフロレンティーノに

「川を上り下りするとしても、いったいいつまで続けられるとお思いですか?」と聞かれる。 53年7ヶ月11日前から答えを用意していた。

「命の続く限りだ」と彼は言った。



◉面白かったところ


フェルミーノ結婚後初夜の描写

そとのきは彼女がイニシアティヴをとり、恐怖や苦痛を感じることなく、外洋を航海する冒険者のように楽しそうに身を任せ、あとには名誉のバラのような血のしみがシーツに残されていた。



☆パリ滞在時のフェルミーノ

彼女は、またスペイン語でどこの誰とでも

意思を通じ合わせることができた。〈言葉というのは何かを売ろうとすれば、覚えなければいけないけど〉と彼女はからかうように笑いながら言った。〈何かを買う場合は、何を言っても通じるものなのよ。〉


☆アメリカビクーニャに誘惑される場面

通りを歩いているあわれな盲人の手引きをするように、ベッドまで手を引いて導いてやり、悪意のこもったやさしさで彼を料理しはじめた。好みの量の塩と胡椒をふりかけ、ニンニクひとかけ、みじん切りにしたタマネギをまぜ、レモン汁をしぼり、ローレルの葉を一枚加える、大皿で味をなじませている間に、オーブンがいい温度に温まった。

家には誰もいなかった。


☆海に沈む難破船を見た少年の話

帆が完全に残っている船が何隻かある、多分船が沈んだ6月9日午前11時の陽射しが射している

300年生きている大ダコがいて大砲の筒先からうでを伸ばしている。

軍服を着た司令官が横向きになって漂っていた。

◉感想

10代の時に会った女性をずっと思い続け

70歳過ぎて 未亡人になってからまた思いを打ち明けに行くという。 普通にはありえない幻想的な恋という大枠を リアリズムの文体で構築してある 作品。


100年の孤独とは逆の発想で書いているような気がする。


安っぽくならないユーモアのセンスがよい


フロレンティーノは老齢まで初恋の人を思っている純愛の人かと思うが、実際には622人の女性と関係を持ち日記につけるは、途中 娼館を経営するは、 小学生の子供と関係を持ちしまいには自殺させてしまうなど

相当な変態なのだが それがまた人間味を感じありきたりのラブストーリーにならず

まさしくマルケスオリジナルの味わいのある作品になっている


最後の質問に対する答えはフロレンティーノのフェルミーノへの一途の愛に対する答えにもなっているのだろう。


最後まで面白く読めた。