【バナナフィッシュ日和】 J.D サリンジャー
【バナナフィッシュ日和】 J.D サリンジャー
100点/100点
最初の話
バナナフィッシュにうってつけの日
バナナフィッシュ日和 そのほかいろいろ訳者によって いろんな題名がある。
ストーリーは
ハネムーンに来ているシーモア グラースとその妻の1日を追った作品
妻は母親と部屋で電話 シーモアはビーチで出会った少女といろいろと会話して 部屋に帰って行く
そして
…
という流れ
これだけの20ページの作品に心を動かされるのは
何故だろうか?
泣ける話とかではないが 時代を超えて評価され続ける物語の力を見せつけられた気がする。
を読んだけど、 これに一番惹きつけられた
サリンジャーの書きたい事ってなんだろう?とか
どんな人だろうと 気にせずにはいられなくなる
戦争に行って神経衰弱で入院とか
ある時期から世の中とは交流を断ち家の周りに2メートルの壁があるとか
東洋思想への傾倒など
個人的にゾッとするのは
自分の娘にフィービーと名ずけようとした
これは キャッチャーインザライにおける主人公ホールデンが
社会に馴染めなくて精神的に不安定な中
最後に救ってくれる存在として妹のフィービーが登場する…
おそらく自己を投影してる部分もあるであろうホールデン、その救世主として自分で作り出したキャラクターの名前を我が子につけるなんて
さすがに奥さんに反対されて 違う名前にしたらしいけど
サリンジャーの壊れっぷりをモーレツに感じます。
話をバナナフィッシュに戻す
この短編は何気ない1日を書いているようで
所々 違和感を感じる部分がある
◉バスローブを着たままビーチで寝転んでいるシーモア
◉バナナフィッシュの話
◉自分の足をジロジロ見るなと急に怒り出すシ ーモア
◉ビーチで会う少女が何回か発する
シーモアグラース(もっと鏡を見て)というセリフ
なんかいろいろありそうだし サリンジャーの抱えてる何かがにじみ出てる様な気がしてならない
そしてグラース家のストーリーにはシーモアが大きな影響を与えてる事は間違いないと思うし
当然彼について詳しく書いていたり もしくは主人公にした作品があるのかとおもいきや
本人が直接登場するのはバナナフィッシュ日和だけで
他はエピソードなどが他の作品に間接的に書かれているだけ
バナナフィッシュ日和を読んで、なんでこんな結末になるんだろう?彼の人となりを詳しく知りたいと思う読者にとっては 肩透かし。 だけど
おそらくそこがいいんだと思う、謎めいて。 次男のバディがシーモア序章などで語ってくれるのだが 話があちこち行って 煙に巻かれたような感じを受ける。
そしてバナナフィッシュ日和の中に他に読み取れる何かがあるんじゃないかと思い また読んでみる
ことになる
きっと 隠された何かがあるのかもしれないし
何もない のかもしれない
心を揺さぶられ サリンジャーの凄さを思い知ったとしか言いようがない
そしてサリンジャーの作品は寡作にもかかわらず
いまだに毎年、数十万部売れているらしい
恐るべし サリンジャー。